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被相続人が開設していたウェブサイトの管理や承継はどうしたらよいのでしょうか?

被相続人がウェブサイトを開設していました。相続人は、管理・承継に当たってどのような対応をすればよいのでしょうか。また、サーバを管理していた場合はどうでしょうか。今回は、ウェブサイトの管理や承継について解説します。

ウェブサイトに関する権利関係の確認

被相続人が開設していたウェブサイトの制作・更新をウェブサイト制作会社に依頼していた場合には、実際にウェブサイトのコンテンツを創作しているのは当該制作会社となります。
ウェブサイトは、写真、文章、イラスト、全体のデザインなどの複数の要素により構成されており、その中でこれら個別のコンテンツに著作権が発生して いる場合があり、また、ウェブサイト全体の構成やデザイン自体も編集著作物等になる余地があります。そしてこれらの著作物を創作した者に著作権が付与される著作権法の原則に従えば、ウエプサイトの著作権は、ウェブサイト開設者ではなく、コンテンツ制作会社に帰属する場合も考えられます。
したがって、相続人としては、ウェブサイトを開設者自らが制作したかどうかを確認し、仮にこれを制作会社に依頼していた場合は、当該会社との間の、ウェブサイトに関連する契約の有無やその内容を確認することが必要です。
なお、ウェブサイト制作契約上、著作権も含めたウェブサイト上の権利は、委託者である開設者に原始的に帰属するか、譲渡すると取り決められている場合が多いと思われますが、その他の取扱いについては、当該契約条項に従うことになります。契約上明確な規定がない場合は、相続人としては、当該コンテンツ制作会社に開設者の死亡を連絡し、今後のウェブサイトの運営、管理、相続人による承継の可否等々について協議することが必要です。

ウェブサイトの存続等に関する遺言等の意思表示の確認

ウェブサイトの保有・管理等の権利が開設者に帰属し、当該ウェブサイトが遺産であるとしても、被相続人が、遺言若しくは契約等で、ウェブサイトの開設者が亡くなった時点で当該ウェブサイトを閉鎖する旨の記載がある場合、また特定のウェブサイト管理人を指定している場合があります。この場合、原則としては被相続人の意思表示を尊重し、その意向に沿って適宜手続を進めるべきです。

サーバレンタル等に関する委託契約等の調査

指定された管理人若しくは相続人等が、制作されたウェブサイトをインターネット上で公開するためには、サーバを利用する必要がありますが、サーバをレンタルしてウェブサイトを管理・運用する場合は、サービスプロバイダなどとのサーバレンタル等に関する契約を確認する
必要があります。
サーバのレンタルは、有料の場合と無料の場合があり、その他サーバ利用条件等を確認する必要があります。

セキュリテイや保守管理等に関する委託契約等の調査

ウェブサイト開設者自身がサーバを購入する等して、自ら保有・管理している場合があり、その場合は、サーバのレンタル契約は存在しませんが、サーバのメンテナンスやセキュリティ対策等を第三者に委託することがあるため、これらの契約の有無や内容を確認する必要があります。

サービスプロバイダ、コンテンツ制作会社、若しくはサーバ保守管理会社などへの相続の事実の通知

ウェブサイト開設・管理・運用に関するこれらのサービス提供契約は、いわゆる委任契約若しくは準委任契約である場合があります。前者は法律行為を委任する場合であり、後者はそれ以外の業務を委任する場合です。
なお、民法653条は、委任契約は、委任者の死亡が終了事由になっており、これは委任契約が、委任者と受任者との間の信頼関係の上に成り立っている場合を想定しています。しかしながら、民法の上記規定は任意契約であり、ウェブサイト関連契約のように、契約当事者間の信頼関係等々をそもそも前提としない場合は、委託者が死亡した場合に当然終了しない扱いも珍しくありません。
これらの契約関係を円満に維持管理していくためには、相続が発生した事実をまず契約当事者らに通知し、今後のウェブサイトの運用管理等について、これら契約関係の維持について検討することが必要

契約上の地位の承継若しくは新たな契約の締結

ウェブサイト管理人が指定されている場合は、指定された者に対しウェブサイト開設者の死亡を通知して、同人の意向を確認し、当該被指定者が今後のウェブサイト管理運営を引き受ければ、以後のウェブサイトの管理はその者が行うことになります。
被指定者がウェブサイトの運営管理の承継を拒絶すれば、ウェブサイト自体は遺産であることから、その運営管理に関する権利義務は相続人間で承継されます。
相続による承継は包括承継とされ、特段の事情のない限り、相続人は被相続人の権利義務を承継しますが、既に述べたとおり、委任者の死亡がウェブサイト関連契約の終了事由になっている場合があります。そのような場合、相続人はサービスプロバイダやコンテンツ制作会社などとの契約の内容を確認した上で、これら契約が承継できない場合は、適宜契約の終了手続を行うとともに、改めてウェブサイトの維持・管理・運用などに必要となる契約を新規に締結することが必要です。

セキュリテイや保守管理等に関する委託契約等の契約上の地位の承継

サーバを自分で保有し、ウェブサイトの更新や管理運用など一切を被相続人が行っていた場合であっても、セキュリテイや保守管理等に関する委託契約等が存在する場合は、当該契約の契約上の地位を承継する手続を行うか、若しくは改めてウェブサイトの維持・管理・運用に必要な契約を締結する必要があります。

ウェブサイト上のコンテンツに関する承継後の使用許諾

ウェブサイト上には、サイト開設者のコンテンツとともに、第三者のコンテンツが存在する場合もあります。例えば、第三者から写真や文章などがウェブサイトに投稿されている場合などがそれに当たります。
第三者が開設者のウェブサイトであることを前提に投稿した場合は、ウェブサイトが相続人に承継された場合にまで、これらのコンテンツの利用を許諾していない場合七 もあり得ます。
そこで、引き続きこれら第三者のコンテンツをウェブサイト上に掲載するためには、改めてコンテンツの著作権者等に、許諾をとることが必要です。相続人としては、ウェブサイト上の写真等々のコンテンツの保有者若しくは著作権者を調査した上で、ウェブサイトの相続による承継の事実を通知し、引き続き当該コンテンツを掲載するか、削除するか等の意思を確認します。

ウェブサイト削除の手続

被相続人によるウェブサイトの存続等に関する遺言等の意思表示に従ってウェブサイトを削除する場合、まず開設方法の内容を確認し、サーバ上やデータベース上のデータを削除することが必要です。
ウェブサイト運用のために取得したドメイン名については、当該ドメイン名に関する規約や手続に従ってドメイン名提供契約を解除し、レンタルサーバについてもレンタルサーバ業者の管理画面にログインして、適宜レンタルサーバ提供契約の解約手続を行います。
なお、削除の前に、念のためにウェブサイト上のデータやコンテンツ等につき、バックアップをとっておくことで、ウェブサイトに関して関係者から疑義が後で生じた場合などに備えることができます。

まとめ

被相続人が開設していたウェブサイトの管理や承継は、次の点を注意します。
(1)ウェブサイト上に第三者のコンテンツが存在していた場合、コンテンツ保有者に、当該コンテンツについてウェブサイト承継後の使用許諾をとる。
(2)被相続人が開設していたウェブサイトの存続等につき、ウェブサイトの削除の意思を遺言等で表示していた場合、サイト上のコンテンツを保存した上で、サイト削除の手続を行う
(3)被相続人が開設していたウェブサイトについて、制作、更新等を誰が行っていたのかを確認し、コンテンツ制作会社等が制作、更新等していた場合には、コンテンツ制作会社との契約を調査し、ウェブサイトが被相続人本人に帰属するか等を確認する
(4)被相続人にウェブサイトの権利が帰属している場合、被相続人がウェブサイトの存続等につき、遺言等にて意思表示をしていないか確認し、相続人以外の第三者をウェブサイト承継人として指定していた場合、当該第三者に連絡し、その後のウェブサイトの管理等を依頼する。
(5)ウェブサイトを運営管理する上でレンタルサーバを利用していた場合は、サーバ提供会社などの第三者に対する委託契約等があるか否かを調査する。
(6)サーバを自分で保有・管理していた場合は、セキュリテイや保守管理等について第三者に対する委託契約等があるか否かを調査する。
(7)ウェブサイトを運営管理する上で、コンテンツ制作会社、若しくはサーバ提供・保守管理会社などに相続の事実を通知する。
(8)ウェブサイトを運営管理する上で必要となる、コンテンツ制作会社やレンタルサーバ提供会社等との契約の契約上の地位を承継する
(9)サーバを自分で保有・管理していた場合、セキュリテイや保守管理等に関する委託契約等の契約上の地位を承継する。
今回は、被相続人が開設していたウェブサイトの管理や承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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