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農地転用とは何ですか? 転用に規制はあるのですか?

「農地転用」とは、農地を住宅用地などの農地以外のものにすることで、農地法の許可を受けなければなりません。今回は、農地転用について、許可の種類や許可基準などについて解説します。

農地転用とは

 農地転用とは、農地を農地以外のものにすることで、農地を、住宅や建物敷地、資材置き場、駐車場、山林などの用地に転用することです。しかし、農地は農業生産の基盤であり、国民に対する食糧の安定的供給を図るという重要な役割を担っています。
 農地転用の許可判断は、農地が優良農地か否かの面からみる立地基準と、周辺の農家に悪影響を与えないかという面からみた一般基準から定められています。また、農業振興地域農用地に指定されている区域は、優良農地の確保・保全のために転用の制限がかけられています。
 農地転用の申請をする前に、申請地が区域内か区域外かを自治体で確認してください。区域内の場合は農業振興地域除外の申請をして、許可がおりた後でないと、農地転用の申請ができません。また、宅地造成のみの場合は原則として許可されません。
「住宅建設」は、一般住宅の場合は500平方メートル以内、農家住宅の場合は1000平方メートル以内を目安としています。農家住宅は、農業倉庫、作業場といったスペースが必要なために、一般住宅よりも広い面積が゙設定されています。
 また、「農業用施設」や「植林」に関しても「農地転用」の申請が必要です。ただ、「農業用施設」は、2アール未満のときは、例外として許可が不要ですが、一時的な資材置場、現場事務所として利用する場合も許可が必要です。また「植林」にも「農地転用」の許可が必要ですのでご注意ください。

「農地転用」の許可判断は、「立地基準」と「一般基準」から定められています。

 「立地基準」とは、農地を農業における優良性や周辺の立地の状況から5つに区分し、転用ができるか否かを判断します。農業への重要性が高い農地ほど転用が厳しく制限されていて、低い農地ほど容易に転用が許可されています。立地にかかわらず「一般基準」は申請書に基づいて判断されます。例えば、「申請の用途に供することが確実であること」「周辺の農地に支障を生ずるおそれがないこと」「利用後に、耕作地として復することが確実であること」などです。
 このように、「農地転用」には複雑な基準が設けられています。特に「立地基準」は農業委員会などで確かめなければわかりにくい部分があります。そのためにも「農地転用」の専門家である行政書士や土地家屋調査士のアドバイスが欠かせません。

立地基準

(1)農用地区域内農地  市町村が定めた農業振興地域整備計画において農用地区域とされた農地は原則として「転用」できません。
(2)甲種農地  市街化調整区域内の土地改良事業などの対象となった農地で、良好な営農条件を備えているため、原則として転用は許可されません。
(3)第1種農地  10ヘクタール以上の規模の一団の農地や、土地改良事業の対象となった農地で、原則として転用は許可されません。
(4)第2種土地  鉄道の駅が500m以内にあるなど、市街地化が見込まれる農地や生産性の低い農地で、建築物が立地困難な場合であれば許可されます。
(5)第3種農地  鉄道の駅が300m以内にあるなど、市街地の区域、または市街地化の傾向が著しい区域にある農地で、原則として転用が許可されます。

一般基準

 事業実施が確実であるかを判断します。事業実施についての一般基準を満たさなければ農地を転用することはできません。一般基準の一例は以下のとおりです。

(1) 目的どおりに確実に土地が使用されると認められること。
  ・転用に必要な資力等があるか。
  ・遅滞なく転用目的に供することが確実か。
 ・他法令の許認可の見込みはあるか。
 ・計画面積が妥当であるか。
(2) 周辺農地の営農条件に影響を与えるおそれがないこと。
  ・土砂の流出又は崩壊を発生させるおそれはあるか。
  ・農業用用排水施設の機能に影響を及ぼすおそれはあるか。
(3)一時的に農地を農地以外に利用する場合には、事業終了後に確実に農地に復元すること。

農地転用と農地法の関係

 農地転用をおこなう場合、土地の広さにより許可権者が変わります。愛媛県の場合では4ha以下の場合は県知事の許可が必要ですが、4haを超える場合には農林水産大臣の許可が必要になります。また、市街化区域内の農地を転用する場合には、地域の農業委員会にあらかじめ届出を行えば、許可はいりません。これらの許可を受けないと、権利の設定や移転は効力を生じません。

農地が4ha以下の場合

 市町村の農業委員会を通して都道府県知事の許可を得ます。受付処理されるまでに約45日間かかります。

農地が4haを超える場合

4haを超える農地転用は農林水産大臣(地方農政局長)との協議が必要となり、処理されるまで約2~3か月を要します。また、転用する農地が農業振興地域内の農用地に指定されていると、除外手続きなどが必要になるので、さらに約2~3か月かかります。

農地法の許可

農地法3条=土地の名義を変更する場合

 農地法3条は「権利移動」に関する条項です。農地を耕作目的で売買、贈与、賃貸借、使用貸借する場合は、農地法第3条の許可が必要です。これは、資産保有や投機目的などで農地を取得することを規制し、農地を効率的に利用しようとする人だけに委ねることを目的としています。 相続の場合は、許可がいりません。

農地法4条=農地から他の地目に変更する場合

 農地法4条は「転用」に関するものです。自分の農地を土地の名義・持ち主はそのままにしておき、農地を宅地などに変更する場合の許可です。許可を申請できるのは、農地を所有している人だけです。

農地法5条=土地の名義変更と地目変更を同時にする場合

 農地法5条は、「権利移動」と「転用」を同時におこなうものです。事業者が農地を買って転売する場合や、農地を宅地にして家を建てる場合などに適用されます。許可申請は売主(または貸主、農地所有者)と買主(または借主、転用事業者)の2者で行います。

農地転用の手続きは、どのように行うのですか

 農地の転用計画ができたら、一定の書類を添えて農地法に基づく「農地転用」の許可申請を自治体に提出します。 しかし、転用はケースにより許可申請が異なることがありますので、必ず農業委員会にご相談ください。
 もし、許可なく農地を農地以外のものにするなどの違反があった場合、個人は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科せられるとともに、工事停止命令、原状回復命令、現状回復措置が命じられますので、ご注意ください。

雑種地の場合、農地転用許可は必要でしょうか

 雑種地の場合、農地転用許可は必要ありません。雑種地は農地ではありませんので、建物を建築する際には農地転用許可を受ける必要はありません。しかし、地域によっては開発許可や雨水浸透阻害行為許可などの規制がかかっている場合があります。また、見た目は雑種地であっても、登記が農地の場合は「農地転用」許可が必要です。
 農地であるかどうかは農業委員会で調べることができます。農地法上の「農地」には、「農用地区域内農地」「甲種農地」「第一種農地」「第二種農地」「第三種農地」と区分されていますが、農地区分によっては「農地転用」が不可能になる場合もあります。

まとめ

 農地の所有者が自分自身で宅地などへ転用する場合や転用を目的として農地の売買をしようとする場合、都道府県知事等の許可が必要となります。この許可を受けずに農地を農地以外のものにするなどの違反があった場合、罰則だけでなく原状回復措置が命じられることがあります。
 「農地転用」や「開発行為」は、申請書類と添付書面の作成が煩雑で、高度な専門知識が必要です。一般の方が一人で準備するのは大変な作業となり、許可を得ない売買契約は、契約自体が無効になります。
 また、農地の転用の許可を得て転用のための工事が終了し、地目が変更されてから1ヶ月以内に地目変更登記を行うこととされています。当事務所では、行政書士、土地家屋調査士業務も行っておりワンストップでご依頼に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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