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負担付遺贈や負担付特定財産承継遺言はどのように行うでしょうか?

負担付遺贈や負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)による承継とは、どのような承継方法なのでしょうか。承継手続や負担の履行は誰が、どのように行うのでしょうか。また、負担が履行されない場合の対応方法や、履行されなかった場合に遺言の効力がどうなるのかについて解説します。

第負担付遺贈・負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)

負担付遺贈・負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)とは、相続財産を遺贈又は相続させる代わりに、当該受遺者・受益相続人に一定の負担を課することを内容とする遺言をいいます。相続人以外の第三者を、負担の履行によって利益を受ける者とすることもできます。
なお、負担付遺贈については、民法上、明文の規定が置かれている一方で、負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)については、明文の規定は置かれていませんが、これをすることも可能と解されています。

「負担」の意義及び内容

「負担」とは、受遺者らに課される法律上の義務ないし債務を意味し、受遺者らは、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います。なお、受遺者らの相続人も負担の履行義務を負うことがあり、例えば、受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人が自己の相続権の範囲において承認又は放棄をすることができるため、その相続人が負担付遺贈を放棄せずに、承認した場合は、その相続人は相続分の範囲内において負担の履行義務を負うことになります。
負担の内容については、①受遺者らが、遺言者の配偶者と同居し、同人の生存中は同人を扶養しなければならないとするものや、②受益相続人が一切の財産を相続する代わりに、受益相続人から遺言者の生前に献身的に介助等してくれた者らに対して、それぞれ金〇万円を支払わなければならないとするものなど、多岐にわたります。
例えば、単に、「〇〇が遺言執行者となること」という遺言がなされた場合など、負担なのか、それとも条件なのかが不明確な場合が存在します。このような場合、遺言からは遺言者の意思が明らかでないときは、遺贈の効力を不確定の状態にしておくことは望ましくないことから、負担と推定し、取り扱うべきものと解されます。

無効な「負担」を内容とする遺言について

「負担」は、犯罪行為を内容とするもの、婚姻・離婚・養子縁組等身分行為をすることを内容とするものは無効と解されています。また、負担の内容が事実上又は法律上不能なものである場合も無効と解されます。
負担が無効な場合、当該負担付遺贈又は特定財産承継遺言(相続させる遺言)の効力については、遺言者の合理的意思解釈に委ねられます。すなわち、負担が無効であれば遺贈しなかったであろうと認められるときは、当該遺言自体無効となりますが、そうでない場合には、負担のみが無効となり、負担のない遺贈又は特定財産承継遺言((相続させる遺言)として効力を有することになると解されます。

負担付遺贈の「負担」が履行されない場合

負担の履行請求権

負担付遺贈の受遺者が、その負担した義務を履行しないときは、相続人及び遺言執行者は、受遺者に対して、それぞれ単独で、負担の履行を請求することができます。

遺言の取消請求

負担付遺贈における「負担」の法的性質は停止条件又は解除条件ではないため、受遺者によりその負担が履行されない場合であっても、遺贈は効力を生じ、また、遺贈が当然に効力を失うことはありません。
受遺者がその負担した義務を履行しないときは、相続人及び遺言執行者は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができ、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができます。相続人が複数人いる場合にも、各相続人が単独で取消請求をすることができます。

負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)による承継の「負担」が履行されない場合

負担の履行請求権

負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)がなされたものの、その負担が履行されない場合に、相続人及び遺言執行者が、受遺者に対して、それぞれ単独で、負担の履行を請求することができることは、負担付遺贈と同様です。

遺言の取消請求

明文の規定はありませんが、多数説は、負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言) による承継の場合も、相続人及び遺言執行者は、家庭裁判所に対して当該遺言の取消請求をすることができると解しています。そこで、取消しが認められる負担の不履行とは、負担付遺贈と同様に、遺言者の合理的意思解釈として、当該負 担が履行されなければ、遺言しなかったであろうと認められる程度のものであることが必要であると解されます。

まとめ

負担付遺贈・負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言) による承継手続は、次の点に注意しましょう。
(1)負担付遺贈・負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)とは、相続財産を遺贈又は相続させる代わりに、受遺者らに一定の法律上の義務を課する遺言による承継方法をいう。
(2)遺言の「負担」の意義及び内容を確認する。
(3)負担が無効な場合、無効であれば遺贈しなかったであろうと認められるときは、当該遺言自体無効となる。
(4)負担付遺贈の負担が履行されない場合、相続人及び遺言執行者は、受遺者に対する履行請求や、相当な期間を定めて催告した上で家庭裁判所へ遺言の取消請求をすることができる。
(5)負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)の負担が履行されない場合も負担付遺贈の場合と同様、相続人と遺言執行者が、履行請求及び遺言の取消請求をすることができる。
今回は、負担付遺贈・負担付特定財産承継遺言(相続させる遺言)による承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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