BLOG ブログ

表示登記と権利登記とはどう違うの?表示登記を中心に解説します。

今回は、不動産登記について、表示登記と権利登記の違いなど登記記録の内容や土地家屋調査士の業務について解説します。

不動産登記について

不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。
 登記簿に記載する登記記録は、土地1筆、又は1個の建物ごとに表題部と権利部に区分して作成されています。(土地を数える単位は、筆(ふで・ひつ)といいます。)そして、表題部への登記を表題登記(表示登記)、権利部への登記を権利登記と呼ばれています。

表示登記(表題登記)とは

 表示登記とは、原則的には、不動産登記簿の表題部になされる登記のことで、不動産の物理的な状況が記録されます。土地の場合は、地番、地目、地積などで、建物の場合は、家屋番号、構造、床面積などです。
 なお、「表題登記」とは、未登記の土地や建物について、新しく不動産の物理的状況を登録するための登記のことです。以前は「表示登記」といわれていましたが、平成16年に不動産登記法が改正され、名称が「表題登記」に変更されました。
 表題登記は、不動産の物理的な状況を登録するもので、権利に関する登記の前提となるものです。新たに建物や土地が生じた場合や変更があった場合は、所有者は1カ月以内に申請をしなけれななりません。表題登記は法的義務があるので、申請を怠ると10万円以下の過料に処されます。

表題部に登記されている内容

 土地の場合は、「所在」「地番」「地目」「地積」「原因」「所有者」が記録されています。
所在は地番までの住所、地番、地目は利用状況の種類(宅地、畑など)、地積は土地の面積、原因はこれまでのその土地に係る登記の推移(分筆や地目変更など)、所有者はその土地の所有者を記録されています。
 建物の場合は、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因」「所有者」が記録されています。
 所在は地番までの住所、家屋番号、種類は利用状況(居宅、倉庫など)、構造は建物の構造や屋根、階数(木造かわらぶき2階建など)、床面積は、建物内の面積、原因は登記の推移(いつ新築されたかなど)、所有者はその建物の所有者が記録されています。
 表題部に登記された内容に変更が生じた場合や、建物などを新築した場合などに表題部の登記をします。

権利の登記とは

 権利登記には、不動産の権利に関する情報が記録されます。権利登記には更に甲区乙区という2つの情報に分かれています。
 甲区には、所有権に関する情報として所有権、所有権の仮登記、差押え、仮処分などが記載され、乙区には、所有権以外に関する情報として担保権である抵当権、根抵当権、質権、先取特権、利用権である賃借権、地上権、地役権、永小作権、採石権などが記載されます。

権利部に登記されている内容

権利部は、甲区と乙区に分けて記録されます。

甲区

 甲区には、その不動産の「所有権」に関する事項が記録されています。
 内容は「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「原因」「権利者その他の事項」が記録されています。
 順位番号は、登記された順番を表しています。登記の目的は、「所有権保存」や「所有権移転」などの目的を、受付年月日は、登記を受け付けた日付、原因は、権利を得た原因(売買や相続など)、所有者の氏名と住所が記載されます。

乙区

 乙区には、不動産の所有権以外の権利に関する事項が記録されています。
所有権以外の権利とは抵当権や根抵当権、質権などの「担保権」や地上権や賃借権などの「用益権」です。
 乙区の内容は「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「原因」「権利者その他の事項」が記録されています。
 順位番号は、登記された順番を表しています。登記の目的は「抵当権設定」などの目的を、受付年月日は、登記を受け付けた日付、原因は、権利を得た原因、権利者その他の事項には、権利が抵当権なら「債権額」「利息」「損害金」「債務者」「抵当権者」などが記録されます。

表示登記は土地家屋調査士、権利登記は司法書士

 表題部の登記は、土地や建物に変更があった場合や、建物の新築や増築、滅失した場合など、現状と登記記録の内容を一致させるための登記です。
この登記を扱う専門家が、土地家屋調査士
です。
 権利部の登記は、建物を新築した場合の保存登記や、売買や相続による移転登記等の所有権に関する登記です。この登記を扱う専門家が司法書士です。

土地家屋調査士の業務

 土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて不動産の表示に関する登記について必要な土地または家屋に関する調査・測量を行います。
 下記に説明する登記の申請手続の代理は、土地家屋調査士の業務となります。
 なお、土地家屋調査士会に入会している土地家屋調査士(土地家屋調査士法人)でない者は、これらの事務を行うことを業とすることはできません。

土地地目変更登記

 土地地目変更登記とは、土地の主な用途に変更があった場合に、登記所(法務局)の登記記録の「地目」を同じ種類に変更する登記です。地目変更登記は、その変更があった日から1ヶ月以内にしなければならないとされています。
 例えば、畑として利用している土地に建物を新築した場合や、建物を取り壊して宅地として利用していた土地を駐車場にした場合などに土地地目変更登記が必要になります。

土地合筆登記

 土地合筆登記とは、登記上における数筆の土地を合併して登記記録上1筆の土地にする登記です。ただし、相互に接続していない土地、地目または地番区域を異にする土地など合筆できないものもあります。
 この登記は所有者の意思に基づいて行う登記ですので、所有者に申請義務はありません。したがって、合筆するかどうかは所有者の意思によりますので、数筆の土地を一体として利用していたとしても土地合筆登記を申請する必要はありません。なお、土地合筆登記には測量業務を伴いません。

土地地積更正登記

 土地地積更正登記とは、土地の登記記録上の地積と実測した地積が異なる場合に、登記記録上の地積を正しい地積に訂正するためにする登記です。
 登記記録上の地積と実測した地積が異なる原因は様々ですが、登記記録が明治からそのまま引き継がれている土地などにおいては、今と比べて筆界の決め方にゆとりがあったことも原因の一つと考えられます。また、地籍調査などで昭和以降に測量がされている土地であっても、測量の技術及び精度が向上したことが原因で地積が異なる結果となることもあります。

土地分筆登記

 土地分筆登記とは、登記記録上1筆の土地を2筆以上の土地に分割する登記です。
 例えば、一筆の土地の一部を分割して売却したい時、相続のため土地を分割したい時などは、土地分筆登記を申請しなければなりません。この登記も所有者の意思に基づいて行う登記ですので、所有者に申請義務はありません。また、土地をどのように分筆するかどうかも所有者の自由です。
 土地を分筆する場合には、分筆する土地の周囲のすべての筆界について確認し、測量を行い、分筆点に境界標を設置するなどした後、登記所(法務局)に登記申請を行います。

土地一部地目変更・分筆登記

 1筆の土地には1種の地目しか登記することはできないため、土地の一部が別の地目になった場合には、別地目となった部分を分筆し、地目変更登記をすることになりますが、「土地一部地目変更・分筆登記」として1件で登記申請することが可能です。

建物表題登記

 物表題登記とは、建物の新築等により新たに建物が生じたときに、その建物の物理的な状況を公示するため、最初にされる登記のことです。
 物理的な状況とは、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積のことであり、これらを登記することにより、建物の形状や大きさ等物理的な状況が明らかになります。
 なお、新築建物の所有者は、新たに建物が生じた日から1ヶ月以内にこの登記を申請しなければなりません。

建物滅失登記

 建物滅失登記とは、建物が取り壊しや焼失などで社会通念上建物としての効用を有しない状況となったことを原因として登記記録を閉鎖する登記です。
 なお、登記記録の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、建物が滅失したときから1ヶ月以内にこの登記を申請しなければなりません。

建物の表題部の変更の登記

 建物の表題部の変更の登記とは、建物の増築又は一部取壊し等建物の物理的な状況に変更が生じた時に、登記記録を現況に合致させるために行う登記です。
 なお、登記記録の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、建物に変更が生じたときから1ヶ月以内にこの登記を申請しなければなりません。

区分建物表題登記

 区分建物表題登記とは、区分建物(例.マンション)を新築した時にその建物の物理的な状況を公示するため、最初にされる登記のことです。
 物理的な状況とは、建物の所在、建物の名称、家屋番号、種類、構造、床面積のことであり、これらを登記することにより、建物の形状や大きさ等物理的な状況が明らかになります。
 原始取得者、すなわち、そのマンションを建築した人(会社)は、新たに建物が生じたときから1ヶ月以内に一棟の建物に属するすべての区分建物を一括して表題登記の申請をしなければなりません。

筆界特定申請の代理

 筆界特定制度とは、土地の所有者等の申請により、筆界特定登記官が、民間の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。
例えば、「自分の土地を分筆しようとしたところ、隣接地の所有者が筆界の確認に応じず、分筆の登記ができない」「先代の頃から隣接地との筆界が不明となっているため、これを明らかにしたいが、隣接地の所有者が異なる主張をしている」などの理由があれば筆界特定の申請をすることができます。
土地家屋調査士はこの筆界特定申請の代理の業務を行います。
 また、筆界調査委員には、その職務を行うのに必要な専門的知識および経験を有することが求められますが、特定の資格者は要件となっていません。しかし、実際には、筆界の専門家である土地家屋調査士が任命され活躍しています。

まとめ

 今回は、不動産登記について、登記記録の内容や土地家屋調査士の業務について解説しました。
 不動産の登記記録は、土地・建物の物理的状況が登記事項として記録された「表題部」と、それらの権利関係が登記事項として記録された「甲区」と「乙区」があります。
 土地家屋調査士は、不動産自体の物理的状況を登記する業務を行い、権利に関する登記の業務は司法書士が行います。これは器とその中身のような関係で、例えて言えば、器の色・形・素材・大きさなどを登記するのが土地家屋調査士で、器の中身については司法書士が登記するということです。
 また、表題登記の申請期限は1ヵ月ですが、登記申請が義務になっていることを知らず、過料の支払請求がないため何年も建物が未登記になっていることがあります。しかし、未登記のままで放置するのは法的に好ましい状態ではありませんので、未登記という事実に気が付いたら表題登記の手続きをしてください。当事務所は、土地家屋調査士の事務所でもあるのでワンストップで表題登記と権利登記ができます。土地の測量業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。

具体的なご相談をご検討の方はこちらをご覧ください

CONTACT
お問い合わせ

ご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。