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相続にあたり被相続人の扶養料請求権や生活保護受給権はどうしたらよいのでしょうか?

被相続人が扶養料請求権や生活保護受給権を有していた場合、管理や承継するにあたりどのような点に注意すべきでしょうか。今回は、扶養料請求権や生活保護受給権の管理と承継について解説します。

扶養料請求権・生活保護受給権

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があります。また、家庭裁判所は、特別の事情があるときは、三親等内の親族においても扶養の義務を負わせることができます。扶養義務としては、夫婦間、親と未成熟子の間に認められ、扶養義務者の余力の有無にかかわらず資力に応じて金銭的に援助するべき義務と、その他親族との間に認められ、生活困窮者から扶養を求められた近親者として、請求者が文化的に最低限度の水準の生活を営むことができるように、自らに余力がある範囲で、金銭的に援助するべき義務の2 種類に整理されることが一般的です。
親族間の扶養は、夫婦間の婚姻費用分担義務や、親の子に対する監護義務についても、生活保持義務の一種として整理されます。
一方、同じ生活費を受給する権利でも、生活保護制度は、日本国憲法25条1項で保障される健康で文化的な最低限度の生活を実現するための制度であり、全ての収入、資産、能力、親族間の扶養義務の履行その他あらゆるものをもってしても最低限度の生活水準を維持できない場合に、国が生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する制度です。生活保護を受給するためには福祉事務所に申請をします。
生活保護における扶助の種類には、①生活扶助、②教育扶助、③住宅扶助、④医療扶助、⑤介護扶助、⑥出産扶助、⑦生業扶助、⑧葬祭扶助があり、これらの扶助は要保護者(現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者)の必要に応じ、単給又は併給として行われます。

扶養料請求権・生活保護受給権の請求の可否の検討

被相続人が有していた扶養料請求権は相続の対象となるのか、扶養料請求権は被相続人の一身専属の権利として相続の対象とならないのではないかが問題となります。
この点、裁判例は、親族間の扶養請求権そのものは一身専属の抽象的な権利であるが、扶養料の請求によって範囲が具体化し、さらに審判等によって金額等が形成されたときは、その形成された扶養料は過去のものであると現在及び将来のものであるとを問わず金銭債権と化し、一身専属性を失い、相続の対象となると判断しています。このように、被相続人の扶養料の請求によってその範囲が具体化し、金額等が形成された場合は、純粋な金銭債権として存在しているものと考えられますので、相続の対象になると解されます。
他方で、生活保護受給権は、被相続人の一身専属的な権利であって、相続の対象とはなりません。判例は、生活保護受給権は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために与えられた一身専属の権利であり、他に譲渡し得ないことから、相続の対象となり得ないと判断しています。さらに、判例は、被保護者の生存中の扶助で既に遅滞にある給付を求める権利について、生活保護は被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであり、法の予定する目的以外に流用をすることは許されないから、被保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象とはなり得ないと判断しています。そのため、生活保護受給権はその金額が確定し遅滞に陥っている給付を含めて相続の対象にはならないと考えられています。

扶養料請求権の調査方法

被相続人が特定の者に対して扶養料請求権を有しているのかを調査する方法として、①被相続人の通帳を確認して、一定の期間、配偶者、特定の直系血族または兄弟姉妹から婚姻費用、扶養料と思われる入金がある場合には、当該振込者に対して扶養料請求権を有している可能性が高いので、当該振込者に対して振込みの趣旨を確認することが考えられます。また、②扶養料請求権が協議や調停・審判によって確定している場合、その協議書や審判書等の書面を被相続人が所持している可能性がありますので、被相続人の自宅等にそのような書面がないか確認することも考えられます。
他方で、被相続人が生活保護を受給していたとしても、生活保護受給権は、被相続人の一身専属的な権利であって、相続の対象とはならないので、通常、相続人等が被相続人について生活保護を受給していたか否かを積極的に調査することはないと思われます。

扶養料請求権の評価方法

回収確実な扶養料請求権は額面どおりに評価することとなりますが、扶養義務者の資力が乏しい場合は、他の相続人の意見を聴いて扶養料請求権について評価の合意形成を図ることが相当です。

扶養料請求権の承継方法

裁判例によれば、扶養料請求権は、被相続人の扶養料の請求によって範囲が具体化し、さらに審判等によって金額等が形成されたときは、その扶養料は過去のものであると現在及び将来のものであるとを問わず純然たる金銭債権と化し、相続の対象となるとされています。このような扶養料請求権は、いわば純粋な金銭債権として存在していますので、通常の金銭債権と同様、法律上当然に分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継することとなります。

まとめ

被相続人の扶養料請求権や生活保護受給権について、管理や承継するにあたり管理や承継は次の点を注意します。
(1)扶養料請求権は、最低限度の生活を営むために、直系血族や兄弟姉妹に対して扶養料を請求できる権利である。生活保護受給権は、同様の理由で国から生活保護費を受給できる権利である。
(2)扶養料は、請求によって範囲が具体化し、審判等によって金額等が形成されたときは、相続の対象となる。生活保護受給権は、被相続人(被保護者)の一身専属的な権利であって、相続の対象とはならない。
(3)被相続人の通帳や扶養に係る協議書・審判書等を確認して、被相続人が扶養料請求権を有するかを調査する。
(4)扶養義務者の資力が乏しい場合は、他の相続人の意見を聴いて扶養料請求権の評価について合意形成を図る。
(5)扶養料請求権は法律上当然に分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。
今回は、扶養料請求権や生活保護受給権の管理や承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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