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相続で社会福祉施設の措置費や生活保護費の返還債務はどのようにしたらよいでしょうか?

相続財産の中に社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務がある場合、これらの管理や承継に当たってどのような点に注意すべきか解説します。

社会福祉施設の措置費の有無の確認

社会福祉施設の措置費とは

社会福祉施設とは、社会福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、児童福祉法等に基づく社会福祉事業を行うための施設であり、老人福祉施設、障害者支援施設、児童福祉施設等があります。国の社会福祉基礎構造改革に基づき、これらの施設を利用する福祉サービスの多くは行政が市民に給付する措置制度から契約に移行しましたが、契約を利用できない場合等のため、措置制度は残され、現在も利用されています。
措置制度の下では、これらの施設の運営のための費用(措置費)は、施設へ入所(利用)又は入所(利用)委託の措置をとった者(市町村、都道府県等)が基本的に負担しますが、社会福祉施設に入所する場合においては、入所者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて、その費用の全部又は一部を徴収することとされています。

社会福祉施設の措置費の有無・有る場合はその内容の確認

被相続人が社会福祉施設に入所していた場合、被相続人において未払いとなっている措置費が有ることがあります。
被相続人が社会福祉施設の措置費を負担していた場合には、費用を支弁した市町村等から被相続人に対し請求書、納付書、督促状等が送付されていることがありますので、被相続人が保管していた書類の中に、社会福祉施設の措置費に関する請求書、納付書、督促状等がないかを確認します。
また、相続人、受遺者、被相続人の生前に被相続人の介護をしていた者等、被相続人の生活状況をよく知る者への事情聴取により、社会福祉施設の措置費の存在が分かることもあります。
被相続人が負担していた社会福祉施設の措置費の未払いがあることを確認できた場合、措置費の徴収を行う市町村等に問い合わせ、社会福祉施設の措置費の金額を確認します。
この社会福祉施設の措置費の金額は、被相続人の負担能力に応じ、それぞれ市町村等が定めた費用の額の算定に関する基準に基づいて決定されますので、措置費の徴収を行う市町村等に問い合わせて確認した社会福祉施設の措置費の金額と、被相続人の相続財産を調査した結果判明した実際の被相続人の負担能力に基づき算定した金額とが合致しているかを確認します。金額が合致しない場合には、実際の被相続人の負担能力を当該市町村等に説明し、妥当な措置費の金額への訂正を求める等の対応をとる ことにより、措置費が減額される場合があります。

生活保護費返還債務の有無の確認

生活保護費返還債務とは

生活保護は、生活保護法等に基づいて、生活に困窮する者に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としています。この生活保護は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び、葬祭扶助の8種類の扶助からなっています。
生活保護を受けていた被相続人が亡くなった場合、被相続人が生活保護法63条に基づく生活保護費返還債務を負っていることかあります。
生活保護法63条に基づく生活保護費返還債務とは、生活保護を受けている者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、生活保護を受けたときに、保護に要する費用を支出した都道府県又は市町村に対して、速やかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならないというものです。具体的には、遊休不動産などの換金困難な資産が保護利用後に現金化された際、その間受けていた保護費を返還する場合や、生活保護費の過誤払いのときに、払い過ぎた生活保護費を返還する場合などが当たるとされており、不当利得返還請求権の性格を有する債権です。
この返還額は、原則として生活保護を受けている者の資力を限度として支給した保護金品の全額となりますが、保護金品の全額を返還額とすることが生活保護を受けている者の世帯の自立を著しく阻害すると認められるような場合については、一定の金額を本来の要返還額から控除して返還額を決定する取扱いがされています。

生活保護費返還債務の有無と内容の確認

被相続人が生活保護費返還債務を負担していた場合には、保護の実施機関から被相続人に対し請求書、納付書、督促状等が送付されていることがありますので、被相続人が保管していた書類の中に、生活保護費返還債務に関する請求書、納付書、督促状等がないかを確認します。
また、相続人、受遺者、ケースワーカー、被相続人の生前に被相続人の介護をしていた者等、被相続人の生活状況をよく知る者への事情聴取により、生活保護費返還債務の存在が分かることもあります
被相続人が負担していた生活保護費返還債務の存在を確認できた場合には、返還額は一定の金額を控除されることがありますので、保護の実施機関に問い合わせ、被相続人が負担していた生活保護費返還債務の金額を確認します。その際、保護の実施機関から支給した保護金品の全額を請求されることがありますが、保護金品の全額を返還額とすることが生活保護を受けている者の世帯の自立を著しく阻害すると認められるような事情がある場合には、当該事情を保護の実施機関に説明し、一定の金額の控除を求める等の対応をとることにより、返還額を減額できる場合があります。

社会福祉施設の措置費・生活保護費返還債務を承継するか否かの検討

被相続人が負担していた社会福祉施設の措置費・生活保護費返還債務があることを確認した後、自らが返還義務を負う扶養義務者に当たらないか確認します。扶養義務者に当たらない場合には、被相続人の積極財産と消極財産を踏まえ、相続するか否かを検討します。
社会福祉施設の措置費・生活保護費返還債務等の消極財産が、積極財産より多い場合には、相続人は、相続の放棄限定承認の手続をすることにより、債務の負担を回避することができます。
この相続の放棄や限定承認の手続は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として3か月以内にしなければなりません。そのため、被相続人の相続財産を早めに調査し、相続の放棄や限定承認の手続を行うかどうかを判断する必要があります。

社会福祉施設の措置費・生活保護費返還債務の承継

相続の放棄や限定承認をせず、被相続人の財産を相続することとした場合には、相続人は、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に帰属した一切の権利義務を承継しますので、社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務についても、遺言がなければ相続人が承継します。
また、相続人が複数人いる場合は、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継しますので、社会福祉施設の措置費や活保護費返還債務は、各共同相続人の法定相続分に応じて当然に分割され、各共同相続人に被相続人の社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務が承継されます。

まとめ

相続財産の中に社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務がある場合、管理や承継に当たっては、次の点を注意します。
(1)被相続人の社会福祉施設の措置費について未払いがないかを確認し、有る場合はその金額等の内容を確認する。
(2)被相続人が生活保護費返還債務を負担していたかを確認し、負担していた場合はその金額等の内容を確認する。
(3)社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務を承継するか、相続の放棄や限定承認の手続をするかを検討する。
(4)社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務は、各共同相続人の法定相続分に応じて当然に分割して承継される。
今回は、相続財産の中に社会福祉施設の措置費や生活保護費返還債務がある場合の管理や承継について、解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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