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持分会社の持分を持っている人が亡くなった場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?

持分会社の持分を持っている人が亡くなった場合、どのような点に注意すればよいでしょうか。今回はこのことについて解説します。

持分会社の類型と特徴

会社法は、株式会社のほかに、合名会社、合資会社及び合同会社いう3種類の会社類型を定めていますが、この3つの会社を総称して、持分会社といいます。持分会社は、社員の退社制度があり、組合員の脱退事由とほぼ同様の社員の退社事由カ定められていること、社員自身が業務執行に携わること等、株式会社よりも、むしろ民法上の組合に近い特徴を持つ会社です。
持分会社の構成員を社員といいますが、社員には、持分会社の債務について無限責任を負う無限責任社員と、出資額の限度でのみ責任を負う有限責任社員とがいます。合名会社は社員全員が無限責任社員である会社であり、合資会社は社員の一部が無限責任社員であり、その他の社員が有限責任社員である会社であり、合同会社は社員全員が有限責任社員である会社です。

持分払戻請求権

持分会社の社員は、持分会社の社員たる地位である持分を有しています。社員は、一定の要件を満たせば、持分会社から退社することができ、また、法定の事由の発生により、退社することがあります。
社員の死亡は、法定退社事由として、原則として当然に退社となり、会社に対して、会社財産の一部の払戻請求権を有することになります。社員がいなくなった場合には、これを清算することになります。
遺産に持分払戻請求権があるかどうかを把握するために、被相続人が会社経営をしていた場合などには持分を持っていなかったのか関係者へのヒアリング等を行う必要があります。
なお、持分会社ではありませんが、社団たる医療法人について定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合に、定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定は、出資した社員は、退社時に、当該法人に対し、同時点における当該法人の財産の評価額に、同時点における総出資額中の当該社員の出資額が占める割合を乗じて算定される額の返還を請求することができることを規定したものと解されており、持分会社においても参考になります。

持分払戻請求権の時効

持分払戻請求権も、債権として消滅時効にかかります。したがって、持分払戻請求権を管理する場合には、管理している期間中に消滅時効が完成して、債務者により援用されることを防がなければ、債権の時効消滅により相続財産を減少させることになりますので、注意が必要です。
まず、令和2年3月31日以前に発生した持分払戻請求権については、権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効により消滅します。また、持分払戻請求権が令和2年4月1日以降に発生したものである場合には、改正後の民法の消滅時効の規定が適用されますので、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効により消滅します。
持分払戻請求権について、裁判上の請求、支払督促、和解・調停、破産手続参加等、強制執行、担保権の実行等の事由がある場合には、当該事由が終了するまでの間、時効の完成は猶予されます。また、仮差押え、仮処分の事由がある場合は当該事由が終了した時から6か月を経過するまでの間、催告があったときはその時から6か月を経過するまでの間は、時効の完成が猶予されます。さらに、持分払戻請求権について協議を行う旨の合意が書面でされたときは、一定期間、時効の完成が猶予されます。そして、確定判決等によって権利が確定したとき、強制執行等が終了したとき、権利の承認があったときには、時効は更新され、新たにゼ口から時効期間がスタートすることになります。そのため、遺産を管理している期間が、持分払戻請求権が発生してから5年を経過する可能性がある場合には、時効の完成を猶予させるか更新させる必要があります。

持分及び持分払戻請求権の評価方法

持分は、相続税法上、出資の1つとして、取引相場のない株式の評価方法に準じて出資の価額を評価します。
持分払戻請求権は、相続税法上は、評価すべき持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の合計額を控除した金額に、持分割合を乗じて計算した金額となります。遺産分割協議等においても、これらが参考となります。

遺産分割の対象となるか

持分会社の社員が死亡した場合、社員たる地位は、定款の定めがない限り相続人に承継されませんので、原則として遺産分割の対象にはなりません。例外的に、定款に定めがあり、社員たる地位が複数の相続人に承継される場合には、持分は遺言や遺産分割の対象とすることができます。遺産分割協議等の結果、特定の相続人を社員とするときには、承継のために相続人全員を社員とする相続による社員変更の登記を行った上で、遺産分割協議で定めた当該特定の相続人が他の相続人から持分の譲渡を受けることになります。
他方、持分払戻請求権は、死亡した被相続人に一旦帰属すると解されますので、相続財産に含まれ、遺産分割の対象にもなります。この点、持分の払戻しは、必ずしも金銭によって払い戻されるとは限らないことから、相続開始によって当然に共同相続人に各法定相続分に従って分割されるわけではなく、共同相続人間での準共有になると解されますので、被相続人の遺言がない限り、遺産分割によって相続割合を定める必要があります。

持分払戻請求権の額等

持分の払戻しとして払い戻すべき額は、退社時における持分会社の財産の状況によって決まりますが、持分会社の財産価値は、帳簿価額ではなく、継続企業価値(会社の事業の継続を前提として、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額)で評価しなければなりません。社員の出資の種類を問わず、持分の払戻しは金銭で行うことも可能です。
この点、社員全員が有限責任社員である合同会社では、会社債権者保護のため、退社に伴う持分の払戻しについては一定の規制があることに留意か必要です。すなわち、合同会社が持分の払戻しにより社員に対して交付する金銭等の帳簿価額が、当該持分の払戻しの日における剰余金額を超える場合には、当該持分の払戻しは債権者異議手続を経て行う必要があります。
なお、当該社員の相続人が持分を承継する旨を定款で定めることができ、その場合、退社に伴う持分の払戻しは行われません。また、当該定款の定めがある場合で、もし相続人が2人以上いるときには、持分について権利を行使する者1人を定めなければ、原則として、当該持分についての権利を行使することができませんので、留意が必要です。

まとめ

持分会社の持分を持っている人が亡くなった場合、次の点に注意しましょう。
(1)持分会社には、合名会社、合資会社及び合同会社という3つの会社類型がある。
(2)社員が死亡すると当然に退社となり、会社に対する持分払戻請求権が発生する。
(3)持分払戻請求権が時効消滅することを防ぐ必要がある。
(4)持分払戻請求権は相続財産として、遺言や遺産分割の対象になる。
(5)持分払戻請求権の額等は、退社時における持分会社の財産の状況によって決まる。
今回は、持分会社退社に基づく持分払戻請求権等の管理や承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。

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