BLOG ブログ

事業承継をお考えの方に

事業承継には、親族内の事業承継や社内事業承継、第三者を対象としたM&Aなどの手法がありますが、保有する財産や親族関係の状況を把握して事業承継計画をたてることが大切です。今回は、円滑に事業承継が進むよう制度等を説明します。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。日本の企業全体の約9割を占める中小企業の経営者の平均年齢は、およそ60歳ともいわれ、先代経営者の引退・死去による後継者への事業承継が大きな社会問題となっています。一代で会社を築いた会社は、社長の経営手腕が会社の長所や存立基盤そのものになっているため、事業を誰が引き継ぐのかということは重要な経営課題となっています。また、経営者自身が株式の大半を保有していることも多く、事業承継の問題は、経営者自身の相続問題とも重なります。
「まだ先のことだから」「現状で手一杯」などと「事業承継」への対策を先送りにしておくと、いざ事業承継となった時に後継者がいない、相続でもめて承継どころではないといった問題が生じてしまい、廃業にもなりかねません。時間的余裕をもって事業承継に取り組んでください。
事業承継にはついては、大きく3通りの方法があります。
〇親族に承継する
〇親族外の従業員等に承継する
〇M&Aで他の企業に承継する
事業承継では、経営者教育や経営権確保のための株式移転などの時期で税金が大きく変わってきます。いわば家庭における「相続」と同様に、法律上の問題や納税などの細かい部分への注意が必要となります。なお、事業承継を促進するため「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が制定し、平成20年より施行されています。

M&Aについて

 M&AはMerger And Acquisition(合併と買収)の略で、直訳すると「企業の合併と買収」となります。一般的にM&Aという場合、「会社もしくは経営権の取得」を意味します。
 M&Aの手法には、事業譲渡株式譲渡とがあります。事業譲渡とは会社の全部の事業を承継先に売却する方法ですが、売却の対価は会社の取得となり、社長には直接的に対価を得られません。株式譲渡は、オーナーが保有している会社の株式を承継先に売却する方法です。中小企業の場合、所有と経営が一致していることがほとんどですから、株式譲渡によって、対価を得ることができ、引退後も安心した生活を送ることができます。

いつ頃から準備をすればよいのか

 親族、従業員、外部からの人材などへの承継、M&Aなどがありますが、それぞれに相当な時間がかかります。そのため、後継者選びには時間をかける必要があります。できれば10年以上のロングレンジでお考えください。
 親族等から適格者がいないかを検討し、総合的に判断します。企業内承継を検討する場合は、社員のなかから会社経営に対する意欲、能力、適性があるかどうかを見極めます。もし、能力不足であっても、候補者のどの部分が不足しているのか原因を究明し、時間をかけて後継者教育を施したり、他の役員が能力不足の点を補佐することもできます。
 外部招聘の場合は、会社の業務実態を十分に理解してもらうとともに、一定期間役員として経営に参画してもらい、能力と資質を見極めましょう。

事業承継を成功に導く方法

 事業承継の成功は、結局のところ後継者の資質に尽きると思います。経営者の資質には、「優しさ」「厳しさ」「日々の勉強」という3つの要素が重要です。ただ「優しさ」とは甘やかすことではなく、愛情を持って社員に接することができるかどうかということ、「厳しさ」とは叱責することではなく、仕事に対して常に緊張感を持って厳しく対処できるかどうかということ、「日々の勉強」とは、結果に慢心することなく、商品の知識、営業力、税務や会計、法務など、あらゆる分野の勉強を日々身につける努力を怠らずにやれるかということです。
 こうしたことを後継者に学んでもらうことが、後継者教育になります。
 しかし、いくら熱心に教育を行ったからといって、必ずしも後継者に経営者としての能力が備ってくるかどうかは未知数です。もし、後継者に経営者の資質がないときには、事業承継が失敗する確率が高くなります。認定した後継者の資質が不適格な場合は、たとえ教育の途中であっても、企業内承継やM&Aを検討しましょう。

事業承継の準備は、どのようにするのか

 まずは持ち株の比率を次の後継者に集中させること、そして相続対策をしっかりすることが肝要です。
「持ち株比率の集中」では、株主の意向による会社承継のトラブルを少なくさせるため、次期後継者に3分の2以上の株式を取得させましょう。正確な株主名簿を作成して持ち株比率を把握し、株式の分散を防ぎます。そのためには、定款を変更して株式の譲渡制限を定めましょう。持ち株比率を集中させるために、後継者以外の保有株式を買い取ることをする必要もあります。
「相続対策」では、まず、現在の資産のうち、会社の事業継続のために必要な資産とそれ以外の資産を整理します。事業継続のために必要な資産は、株式や会社が使用している不動産、会社に対する債権などです。そして、全ての資産の評価額を調べ、必要な資産を後継者に相続させるための遺言を作成します。ただ、株式評価額が高額な場合、相続税も多くなりますので、株式の評価額を下げることも検討しましょう。

事業承継のための遺言は、どのように作成すればよいか

 「遺言」がない場合、残された遺産は、「遺産分割協議」を相続人が行って遺産を分けます。もし「遺産分割協議」が整わなければ、調停や裁判になることもあり、事業承継がうまく進まないこともあります。そのため、「遺言」の作成はとても重要です。
 「遺言」の内容を、会社が使用している財産、株式などが後継者に相続できるようにしてください。ただし、他の遺族に対しての遺留分も配慮しましょう。遺留分は兄弟姉妹以外の相続人が有する権利で、相続財産のうちの一定割合を受け取ように定められています。そのため、一人だけに全ての財産を相続させるという「遺言」を作成しても、他の相続人には遺産を受け取る権利があるため、後継者が相続した財産が分散される可能性があります。遺留分を考慮した内容の「遺言書」を作成して「事業承継」が成功するよう気をつけてください。

関連情報
「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等」

特例措置のあらまし
 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」による都道府県知事の認定を受ける非上場会社の後継者である相続人又は受遺者が、被相続人から非上場会社の非上場の株式又は出資を相続又は遺贈により取得をし、その会社を経営していく場合には、特例経営承継相続人等が納付すべき相続税のうち、非上場株式等に係る課税価格に対応する相続税の納税が猶予され、特例経営承継相続人等が死亡した場合等には、その全部又は一部が免除されます。
 そして、特例経営承継相続人等の死亡によって、特例経営承継相続人等から非上場株式等を相続等により取得した者についても、一定の要件を満たすことにより、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等の適用を受けることができます。
特例措置と一般措置の制度の主な違いは上記の表のとおりです。

まとめ

 事業承継には、親族内の事業承継や社内事業承継、第三者を対象としたM&Aなどの手法がありますが、保有する財産や親族関係の状況を把握して事業承継計画をたてることが大切です。他にも株式相続税・贈与税・遺留分への対策や、株主の整理、経営承継円滑化法への対応など自社だけで進めることはたいへんです。
 専門家である司法書士のアドバイスを受けながら必要な手続きをすれば、親族間の争いを回避し経営承継円滑化法の沿った事業承継ができるものと思います。
 具体的は、事業資産を後継者に引き継がす遺言書作成や事業承継後の種類株式を発行することで後継者に株式を集めて経営権を与えるといった提案をします。
 また、事業承継では、役員・不動産などの登記事項が変わるため、変更登記をしなければなりません。当事務所は、遺言作成や会社の登記を多数受託しており、事業承継についても的確にアドバスできますので、お気軽にご相談ください。

具体的なご相談をご検討の方はこちらをご覧ください

CONTACT
お問い合わせ

ご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。