ゴルフ会員権の管理・承継に当たってどのような点に注意すべきでしょうか?今回はこのことについて解説します。
ゴルフ会員権の有無の確認
被相続人の遺産の中に、ゴルフ会員権の預託金証書、会員権証書、年会費の支払履歴、ゴルフ場のネームプレート等があった場合、被相続人が、ゴルフ会員権を有していた可能性があります。
この場合、当該ゴルフ会員権の遺産管理・承継が問題となることから、まずは、これらの資料を手掛かりに、インターネット等でゴルフ場経営会社を調査したり、会社に問い合わせしたりして、被相続人名義のゴルフ会員権の有無を確認します。被相続人がゴルフ会員権を有していた場合には、当該ゴルフ会員権の会則等を取り寄せます。なお、ゴルフ場運営会社が合併、破産、民事再生等を行っている場合もありますので、現在の会則等を取り寄せる必要があることに注意が必要です。
この場合、当該ゴルフ会員権の遺産管理・承継が問題となることから、まずは、これらの資料を手掛かりに、インターネット等でゴルフ場経営会社を調査したり、会社に問い合わせしたりして、被相続人名義のゴルフ会員権の有無を確認します。被相続人がゴルフ会員権を有していた場合には、当該ゴルフ会員権の会則等を取り寄せます。なお、ゴルフ場運営会社が合併、破産、民事再生等を行っている場合もありますので、現在の会則等を取り寄せる必要があることに注意が必要です。
ゴルフ会員権の形態
ゴルフ会員権は、預託会員制、社団会員制、株式会員制の形態に分類できると考えられています。会則等により、当該ゴルフ会員権の形態がいずれであるかを調査します。
預託会員制ゴルフ会員権は、①ゴルフ経営会社所有のゴルフ場施設の優先的利用権、 ②年会費納入等の義務、③据置期間経過後、退会時に預託金返還請求権を主たる内容とする債権的法律関係と解されています。
社団会員制ゴルフ会員権とは、ゴルフ会員が社団法人の社員として、ゴルフ場の経営を行う形態です。
株式会員制ゴルフ会員権とは、ゴルフ経営会社の株主となることがゴルフクラブの入会条件とされ、会員の入会金が会社の株式払込金に充当される形態と解されています。
なお、日本のゴルフ会員権は、預託会員制が大多数を占めています。
預託会員制ゴルフ会員権は、①ゴルフ経営会社所有のゴルフ場施設の優先的利用権、 ②年会費納入等の義務、③据置期間経過後、退会時に預託金返還請求権を主たる内容とする債権的法律関係と解されています。
社団会員制ゴルフ会員権とは、ゴルフ会員が社団法人の社員として、ゴルフ場の経営を行う形態です。
株式会員制ゴルフ会員権とは、ゴルフ経営会社の株主となることがゴルフクラブの入会条件とされ、会員の入会金が会社の株式払込金に充当される形態と解されています。
なお、日本のゴルフ会員権は、預託会員制が大多数を占めています。
ゴルフ会員権の相続可能性
ゴルフ会員権の内容、形態が確認できた後、そのゴルフ会員権について相続が認められるかを調査します。
会則等においてゴルフ会員権の相続が認められている場合
会則等において、ゴルフ会員権の相続を認める規定がある場合には、当該規定に従った手続を行うことになります。預託会員制ゴルフ会員権の場合、相続人は、ゴルフ場施設の優先的利用権、年会費納入等の義務、預託金返還請求権を一体として、会員たる地位を準共有すると考えられていることから、これらの権利義務を分離して相続手続することはできないと解されています。
社団会員制ゴルフ会員権は、当該社団法人の社員権に当たるところ、社団においては、社員間の信頼関係が基礎にあります。したがって、社団会員制ゴルフ会員権は原則として一身専属権と考えられており、定款等において相続できる旨の特別の定めがある場合に限り、相続の対象となると考えられます。
また、ゴルフ会員権の相続を認める規程がある場合でも、ゴルフクラブの会員たる資格(国籍・性別・資産状況・社会的地位等)につき当該クラブの入会承認を得る旨の会則等が存在する場合には、相続手続により当然に会員資格を有するものではなく、改めて当該クラブから、入会承認を得る必要があります。
社団会員制ゴルフ会員権は、当該社団法人の社員権に当たるところ、社団においては、社員間の信頼関係が基礎にあります。したがって、社団会員制ゴルフ会員権は原則として一身専属権と考えられており、定款等において相続できる旨の特別の定めがある場合に限り、相続の対象となると考えられます。
また、ゴルフ会員権の相続を認める規程がある場合でも、ゴルフクラブの会員たる資格(国籍・性別・資産状況・社会的地位等)につき当該クラブの入会承認を得る旨の会則等が存在する場合には、相続手続により当然に会員資格を有するものではなく、改めて当該クラブから、入会承認を得る必要があります。
会則等においてゴルフ会員権の相続が否定されている場合
会則において、ゴルフ会員権の相続を明示的に認めない規定がある場合には、退会手続を採らざるを得ないといえます。預託会員制ゴルフ会員権の場合、相続人は退会に基づく預託金返還請求権を承継することになります。
なお、会則等に、会員の死亡により資格を喪失する旨の規定が存在しても、当該規定は、ゴルフクラブの会員たる資格は、入会承認を経て初めて付与されるものであり、当該会員の人的要素に着目して認められる一身専属的な性質を有することを注意的に定めたものであると解されています。したがって、このような会則が存在していても、会員の相続性を否定する旨の定めがない限り、ゴルフ会員権の相続性は肯定され、当該会員権の承継者は、
入会承認を得ることを停止条件として、ゴルフ会員となることのできる地位を取得すると解されています。
なお、会則等に、会員の死亡により資格を喪失する旨の規定が存在しても、当該規定は、ゴルフクラブの会員たる資格は、入会承認を経て初めて付与されるものであり、当該会員の人的要素に着目して認められる一身専属的な性質を有することを注意的に定めたものであると解されています。したがって、このような会則が存在していても、会員の相続性を否定する旨の定めがない限り、ゴルフ会員権の相続性は肯定され、当該会員権の承継者は、
入会承認を得ることを停止条件として、ゴルフ会員となることのできる地位を取得すると解されています。
ゴルフ会員権の相続に関する規定がない場合
会則等に相続に関する定めがない場合でも、会員の地位の譲渡に関する定め等がおかれているときは、相続も譲渡による地位の変動と相違ないことから、ゴルフ会員権の相続性が認められると解されます。
会則等に、会員の地位の譲渡に関する定めもない場合には、
債権譲渡自由の原則により相続性が認められると解されます。
株式会員制の会員は、ゴルフ場運営会社の株式を保有しているところ、株式には自由譲渡性が認められることから、会則等に相続に関する規定がなくとも、その株式は 相続の対象となります。ただし、株式の譲渡につき当該株式会社の承認を要する旨の規定が、会社の定款に定められていることも少なくないところ、この場合に承継するに当たっては、当該会社の承認を得る必要があります。
会則等に、会員の地位の譲渡に関する定めもない場合には、
債権譲渡自由の原則により相続性が認められると解されます。
株式会員制の会員は、ゴルフ場運営会社の株式を保有しているところ、株式には自由譲渡性が認められることから、会則等に相続に関する規定がなくとも、その株式は 相続の対象となります。ただし、株式の譲渡につき当該株式会社の承認を要する旨の規定が、会社の定款に定められていることも少なくないところ、この場合に承継するに当たっては、当該会社の承認を得る必要があります。
相続財産としての評価額
取引相場のあるゴルフ会員権は、ゴルフ会員権の取引業者の運営するインターネットサイト等を利用し、取引相場を確認します。
また、取引価格に含まれない預託金がある場合は、返還を受けることのできる預託金を加算して評価額を算定するのが一般的です。
他方、取引相場のないゴルフ会員権でも、預託金があるときは返還を受けることのできる預託金額を当該ゴルフ会員権の評価額と評価することになります。株式会員制であるときは、当該株式の価額をゴルフ会員権の評価額と評価することになります。なお、ゴルフ場運営会社が合併、破産、民事再生等を行っている場合には、預託金の返還の有無、株式価額の算定の際に考慮する必要があります。
また、取引価格に含まれない預託金がある場合は、返還を受けることのできる預託金を加算して評価額を算定するのが一般的です。
他方、取引相場のないゴルフ会員権でも、預託金があるときは返還を受けることのできる預託金額を当該ゴルフ会員権の評価額と評価することになります。株式会員制であるときは、当該株式の価額をゴルフ会員権の評価額と評価することになります。なお、ゴルフ場運営会社が合併、破産、民事再生等を行っている場合には、預託金の返還の有無、株式価額の算定の際に考慮する必要があります。
相続税評価
相続税を算出するときのゴルフ会員権の評価方法は、次のとおりです。
取引相場のある会員権
課税時期の取引価格の70 %に相当する金額により評価することとされ、取引相場に含まれない預託金等がある場合には、課税時期において返還を受けることができる預託金額又は、会則等に基づいて返還を受けることができる金額の課税時期から返還を受けることができる日までの期間に応ずる基準年利率による複利現価の額を加算します。
取引相場のない会員権
株式会員制の場合は、課税時期における株式の価額相当額となります。また、預託金等がある場合には、取引相場のある会員権において預託金等がある場合の計算方法を適用して算出された金額を加算します。
承継までの間の管理
ルフ会員権の内容によっては、承継するまでの間に年会費の納入が発生します。相続人又は遺言執行者は、ゴルフ会員権の管理行為として年会費を納入しなければなりません。
また、ゴルフ会員権によっては、承継されるまでの年会費を免除するところもある ことから、会則や当該ゴルフ場運営会社に確認し、免除申請が可能か検討します。
また、ゴルフ会員権によっては、承継されるまでの年会費を免除するところもある ことから、会則や当該ゴルフ場運営会社に確認し、免除申請が可能か検討します。
名義書換え
ゴルフ会員権の相続が認められ、遺言や遺産分割等により当該ゴルフ会員権を承継した者は、自身への名義書換えを行います。
名義書換えについては、ゴルフクラブの会則等に基づき、必要書類の提出、入会承認手続、名義書換料等の支払等の手続を経て行われます。
預託会員制ゴルフ会員権は、①ゴルフ場施一三設の優先的利用権、②年会費納入等の義務、③預託金返還請求権を一体として承継することから、会則上、特に預託金の返還を求めることができる旨が規定されていない限り、預託金返還請求権だけを行使することはできません。
会則等によっては、相続人の1名への名義書換手続や第三者への会員資格の譲渡を行える期間を設定している場合があります。しかし、遺産分割協議の状況によっては、会則等に定める期間内に、同会則等所定の手続のいずれを選択するにも至らない事態も生じ得ます。この点につき、最高裁判決は、会則等による期間制限は、相続人間で遺産分割協議が成立したときから起算すべきであるとしました。
なお、同判決は、「相続人から所定の会費が納入されている限り、会員の地位の承継の手続が遅延することによって、上告人又は本件クラブが格別の不利益を被ることはない」として、遺産分割協議が成立するまでの間、相続人が所定の会費を納入していることを前提としています。相続人は、ゴルフ会員権の遺産分割協議が成立するまでの間、管理行為として、会費等を納入する必要があります。
名義書換えについては、ゴルフクラブの会則等に基づき、必要書類の提出、入会承認手続、名義書換料等の支払等の手続を経て行われます。
預託会員制ゴルフ会員権は、①ゴルフ場施一三設の優先的利用権、②年会費納入等の義務、③預託金返還請求権を一体として承継することから、会則上、特に預託金の返還を求めることができる旨が規定されていない限り、預託金返還請求権だけを行使することはできません。
会則等によっては、相続人の1名への名義書換手続や第三者への会員資格の譲渡を行える期間を設定している場合があります。しかし、遺産分割協議の状況によっては、会則等に定める期間内に、同会則等所定の手続のいずれを選択するにも至らない事態も生じ得ます。この点につき、最高裁判決は、会則等による期間制限は、相続人間で遺産分割協議が成立したときから起算すべきであるとしました。
なお、同判決は、「相続人から所定の会費が納入されている限り、会員の地位の承継の手続が遅延することによって、上告人又は本件クラブが格別の不利益を被ることはない」として、遺産分割協議が成立するまでの間、相続人が所定の会費を納入していることを前提としています。相続人は、ゴルフ会員権の遺産分割協議が成立するまでの間、管理行為として、会費等を納入する必要があります。
名義書換えができない場合の対応
預託会員制ゴルフ会員権について、承継人への名義書換えができない場合、当該承継人は、ゴルフ会員権を第三者へ譲渡するか、又は、年会費等の納入義務及び預託金返還請求権を承継し、ゴルフ場運営会社に対し、年会費等の未納分の弁済、預託金返還請求を行います。
なお、第三者への譲渡に当たり、一旦、当該承継人名義に変更を要するか、被相続 人名義から直接第三者名義に変更できるかは、ゴルフ場運営会社により異なるため、確認が必要です。
相続性が認められた社団会員制ゴルフ会員権について、その承継人への名義変更ができない場合、承継人は、当該社団からの退会を行うことになります。
株式会員制ゴルフ会員権の承継人は、入会審査の結果、承継人への名義書換えが認められなかった場合でも、当該株式には譲渡性が認められることから、第三者への譲渡等を検討します。
なお、第三者への譲渡に当たり、一旦、当該承継人名義に変更を要するか、被相続 人名義から直接第三者名義に変更できるかは、ゴルフ場運営会社により異なるため、確認が必要です。
相続性が認められた社団会員制ゴルフ会員権について、その承継人への名義変更ができない場合、承継人は、当該社団からの退会を行うことになります。
株式会員制ゴルフ会員権の承継人は、入会審査の結果、承継人への名義書換えが認められなかった場合でも、当該株式には譲渡性が認められることから、第三者への譲渡等を検討します。
まとめ
ゴルフ会員権の管理や承継に当たって次の点に注意しましょう。
(1)ゴルフ場運営会社やゴルフ会員権の会則等を調査し、会員権の形態を調査する。
(2)ゴルフ会員権の相続ができるかどうか調査、検討する。
(3)相続財産にゴルフ会員権があった場合、その評価額を調査する。
(4)会則等において、名義書換え等の手続期間が定められている場合でも、年会費等を適時に納入することにより、期限の経過を防ぐ。
(5)ゴルフ会員権を承継した者は、会則等に基づき、名義書換えを行う。
(6)名義書換えができない場合には、ゴルフ会員権の形態により、預託金返還請求、退会手続等を行う。
今回は、ゴルフ会員権の管理や承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。
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(1)ゴルフ場運営会社やゴルフ会員権の会則等を調査し、会員権の形態を調査する。
(2)ゴルフ会員権の相続ができるかどうか調査、検討する。
(3)相続財産にゴルフ会員権があった場合、その評価額を調査する。
(4)会則等において、名義書換え等の手続期間が定められている場合でも、年会費等を適時に納入することにより、期限の経過を防ぐ。
(5)ゴルフ会員権を承継した者は、会則等に基づき、名義書換えを行う。
(6)名義書換えができない場合には、ゴルフ会員権の形態により、預託金返還請求、退会手続等を行う。
今回は、ゴルフ会員権の管理や承継について解説しました。わからない点がありましたら専門家である司法書士に相談されることをお勧めします。当事務所は、相続に関する相談や手続について多数の実績がありますので、お気軽にご相談ください。
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