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ご家族が亡くなられたら・・・相続や遺言の基礎知識

ご家族がお亡くなりになった場合、ご遺族の方がおこなわなければならない手続きがあります。
今回はどのような手続きをしなければならないか解説していきます。

どのような手続きをするの?

 最愛の方がお亡くなりになった場合、お通夜、葬儀、法要と、お忙しいお時間を過ごされたのち、ご遺族の方がおこなわなければならない、たくさんの手続きが待ち受けています。
 どのような手続きをしなければならないのでしょうか?
●ご葬儀後の手続き 葬儀代の支払い、入院費用の精算、介護用品の精算など。
●役所の手続き 死亡届提出、健康保険証の返却、介護保険の喪失手続き、世帯主の変更、住民税の納入、固定資産税の承継、葬祭費請求など。
●年金の手続き 年金受給の停止、未支給年金の受給、遺族年金の受給申請、共済年金・企業年金などの届出など。
●その他 公共料金、クレジットカード解約、自動車の名義変更、住宅ローン、ゴルフ会員権や出資金の名義変更、インターネットプロバイダの変更など。
●金融資産 銀行や証券会社など各種金融機関での相続、株券の名義変更、生命保険の申請、入院保険金の請求、病院診断書の手配など。
●不動産 自宅の名義変更、アパートやマンションの名義変更、土地、建物、田畑、山林などの手続きなど。
主に以上のような手続きがありますが、役所への届出は期限がありますので注意してください。
また、国民年金の死亡一時金や遺族年金の請求、高額医療費の還付請求なども期限があります。

遺産相続はどうするの?

身内の方がお亡くなりになったら、故人が遺された財産を、誰がどのように相続するかを決めねばなりません。故人が、生前に「遺言書」を遺していれば、内容に従って、遺産の受取人である「受遺者」に指定をされた人が遺産を相続します。しかし「遺言書」がない場合、故人の財産は、法定相続人全員の共有になります。

 そのため、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、遺産をどのように分割するかを話し合います。「遺産分割協議」で決まった内容を「遺産分割協議書」に記し、後々のトラブルにならないよう、誰れが何をどのように相続するかを決めます。それぞれの相続が決まり、「遺産分割協議書」に署名捺印すれば、相続人は遺産を自由に処分できるようになります。
相続人同士の主張が折り合わないときには、家庭裁判所に申し立てをします。

 司法書士に依頼されれば、司法書士が相続による不動産の「所有権移転登記申請」や、相続される方の戸籍をとって、相続の関係を図によって説明できる「相続関係説明図」を作成し、金融機関や法務局に提出します。ご本人でも手続きはできますが、数次相続や不動産の数が多い場合などなかなかたいへんです。
なお、数次相続とは、遺産分割協議をしないうちに相続人が死亡したことをいいます。この場合、遺産分割を行うことのできる地位が次の相続人に引き継がれることになり遺産分割協議の当事者が増えていきます。

 財産よりも負債の方が多かったときには「相続放棄」、相続人に未成年者がいる場合には「特別代理人選任申立」、相続人に行方不明者がいる場合に行う「不在者財産管理人の選任申立」、遺産相続で争いになった場合の「調停手続」などの手続きがあります。

 「遺言書」があれば、相続人の遺産分割協議がいりませんので、円滑に相続手続きをするためにも遺言書を残しておくこともお考えください。

確かな「遺言」を遺すために

実際に相続が発生して財産が絡んでくると、仲のよかった兄弟が仲違いしたり、家族の知らない人が「私も相続人だ」と名乗り出てきたりと、予想もしなかった状況が起こります。「うちの家族に限って相続でもめることなどない」とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、相続の問題は非常に根が深く、家族間の感情問題も含まれているため、一度こじれると収拾がつかなくなってしまいます。こうしたことを予防するのが「遺言を書く」「遺言を書いてもらう」ことです。「遺言書」があれば、亡くなった方の意思が尊重され、相続人も納得しやすくなります。

 しかし、「遺言書」をどのように書けばいいのか、内容が効力のないものになってはいないかという心配をされる方もいます。「遺書」を「遺言書」と同じだと考えている方もいらっしゃいますが、「遺書」は自分の気持ちを伝えるための手紙のことです。「遺書」に自分の財産の分け方について書いたところで、何の法的効力もありません。

 民法第960条には「遺言は、この法律に定める方式に従わなければすることができない」と定められています。つまり、「遺言書」は民法の規定に従って作成されなければ法的効力はありません。そのため、「遺言」や「相続」の専門家である司法書士に任せた方が、間違いのない「遺言書」を遺すことができます。

「遺言書」を自分で書く際、次のことに注意しなければなりません。

1.「遺言書」というタイトルをつけます。
2.全文自筆で書きましょう。(財産目録は除きます)
3.法定相続人には「相続させる」、法定相続人でない人へは「遺贈する」と書きましょう。
4.財産の書き漏れがあると、その分の遺産分割を相続人が協議しなければならなくなります。
5.遺言書がスムーズに実行されるよう、司法書士を「遺言執行者」を指定しておきましょう。
6.「争続」にならないためにも、法的効力はありませんが「付言事項」を書きましょう。
7.作成した年月日を正確に記しましょう。「吉日」では遺言書が無効になります。
8.署名と捺印を忘れないようにしましょう。

「遺言書」は何度でも書き直すことができますから、最新のものが「遺言書」として認められます。また、認知症になってから書かれたものだとわかれば、相続人から無効の主張をされることもあります。「自筆証書遺言」の場合は、パソコンやワープロ、代筆は無効です。
 書いた後、無くしたり、誰かに改ざんされたりしないように適切に保管します。しかし、隠し場所がわからなり、「遺言書」が発見されないということもありますので、ご本人がお亡くなりになった後、家庭裁判所での検認を受けましょう。もし抜けている箇所があると、無効の主張をされる可能性もあります。また、「自筆証書遺言」には偽造や紛失、あるいは意図的に隠されるという危険性もあります。
 偽造や紛失などのリスクに対し確実に遺言をするのであれば「公正証書遺言」をオススメしています。また、新たな制度として2020年7月から「自筆証書遺言書保管制度」も始まっています。

公正証書遺言

公正証書遺言と公証人に作成してもらう遺言書です。
公正証書遺言書をの原本は公証役場で実務上半永久的に保管されます。(規則では保管期間は20年間と規定されています。)そのため紛失や盗難、偽造といったリクスがありません。

公正証書遺言の作成は、原則として公証役場で行いますが、病気等で公証役場に行けない場合は、公証人に遺言者の居所へ出張してもらうことができます。(別途出張料が必要)
また、公正証書遺言の作成にあたり公証人が遺言者の意思を確認するともに形式上の不備で無効になることがなく、遺言書の効力の確実性があります。
自筆証書遺言と異なり家庭裁判所の検認が不要なので、相続手続をスムーズに行えますので、時間や手間はかけたくない安心・安全な遺言を作りたい方にお勧めです。

なお、遺言書に記載する財産額と相続人に応じて公証人への手数料と証人2人の立会が必要なため証人への支払いも必要になります。
遺言書作成にあたり公証人に遺言書の内容をうまく伝えられずに遺言書が完成までに思わぬ時間を要することがありますので、不安に思われる方は司法書士に遺言書の原案作成を委任することをお勧めします。

自筆証書遺言書保管制度

「自筆証書遺言書保管制度」は、遺言者の住所地を管轄する法務局で自筆証書遺言を遺言者の死後50年間(遺言書保管情報は150年間)保管されます。
費用も3900円(印紙で納付)と公正証書遺言書より安価になっています。
また、相続の開始したら、家庭裁判所に遺言書を提出して、検認を受けなければなりませんが、この制度では家庭裁判所の検認の手続きが不要になりました。
「関係遺言書保管通知」「死亡時の通知」といった通知制度も新たに用意されています。(法務省では「死亡時の通知」は、令和3年度以降頃から運用を開始するとしている。)
 これは遺言者が死亡した場合に、生前に指定していた推定相続人、受遺者、遺言執行者等のうち1人に対して遺言書が保管されている旨を通知するものです。

 公正証書遺言書では「死亡時の通知」制度がないために、相続人が遺言書の存在を知らぬまま相続手続きをしてしますことがありますが、「死亡時の通知」により相続人に遺言書の存在が明らかになり公平な相続手続きを進めることができます。

しかしながら「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆証書遺言書を保管する制度であり、自筆証書遺言書の形式や内容の有効性を法務局が担保するものではありません。
もとより自筆証書遺言は、法律(民法第968条)が定める形式的な要件を充たしていなければならず、要件があっていても相続人間で新たな紛争が発生しかねない内容になっている場合もあります。そのため「自筆証書遺言の保管制度」を利用するのであれば、事前に専門家である司法書士に遺言書作成の支援を受けることをお勧めします。

まとめ

今回は、ご遺族の方がおこなわなければならない手続きから遺産相続と遺言について、解説しました。
相続手続きを何度も経験されている方ならいざしらず、いざ、その場面になると何をどうしたらよいか悩まれると思います。
自筆証書遺言保管制度が創設され、遺言書を作成される方が増えると期待していますが、遺言書の内容が他の相続人の権利(遺留分)を侵害していると相続発生後に思わぬ争いが発生する可能性があります。

ご自分の試算や親族の状況に応じてどのような遺言書を作成したらよいか、専門家である司法書士に相談して作成すると安心です。
信頼できる司法書士ですと単に相続手続き代行するだけでなく、相続に関係する情報をお伝えし的確な助言を行いますので、お気軽にご相談ください。
当事務所は、松山市や大洲市などにお住まいの方から幅広くご相談をいただいています。
遺された家族の負担を軽減するためにも、早めに相続対策を始めることをお勧めします。

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